えんがわ家の庭はかつてブロック塀で覆われていた。
携わった建築士の意向を汲み、先の工事でそれを撤去した。
塀があると、どこか入りづらい印象がある。
それを取っ払うことで、内と外の境界を薄めようという試みだった。
ご覧の通り、塀がなくなり、庭は開放感のあるスペースへと生まれ変わった。
だが、最も大切なのは、仕組みなどのソフトの部分である。
シェアファームは接道部にある。
ブロック塀がなくなったことで、燦々と照る日差しを存分に浴びることができる。
畑ができたことで地域にも変化が起こった。
まず、人通りの少なかった裏路地を散歩する人が増えたのだ。
どうやら畑を見るためにわざわざこのルートを選んでくれているらしい。
また、畑を通じて、これまで会話のなかったご近所さんと会話することが増えた。
会話が生まれると、畑のことを気遣ってくださる方も現れる。
これはご近所のおばあちゃんから、もう畑やらなくなったからと譲っていただいたものだ。
このシェアファームでは、Facebookグループを活用し、オンラインでのやりとりも取り入れている。
その中では、収穫や有事(苗が倒れた!のような)など、自分の苗ではないものの近況を知らせてくださる方がいる。
地域の付き合いというのは、ともすればしがらみに苛まれ、居心地が悪いものとなり得る。
だが、それが希薄化した昨今では、こうした光景が見られることがとても微笑ましい。
しがらみではなく、つながりをつくる。決して簡単なことではないが、小さなことを積み重ねていきたい。